相続放棄と管理義務
1 相続放棄をしても管理義務が残る
民法は、第940条1項(相続の放棄をした者による管理)の規定で、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は…相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」と規定して、相続放棄の際の管理義務を定めています。
具体的には次の相続人(や相続財産管理人)が財産管理を始められるまでの期間、財産を現に占有しているときは、管理義務は残るということです。
2 改正前の規定
以前は、「相続放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」規定されていましたが、法定相続人の全員 が相続の放棄をし、次順位の相続人が存在しない場合や、相続放棄者が相続財産を占有 していない場合等において、相続放棄者が管理継続義務を負うかどうかや、その義務の内容は、必ずしも明らかではないとされていたため改正となりました。
3 管理義務を有する者
相続財産を現に占有している者が対象となります。
例えば、相続財産である不動産に相続放棄後も住んでいる方、相続放棄後も預金通帳などを所持している方などが対象となります。
4 管理義務を負う期間
相続人または、相続財産清算人に引き渡すまでの間、義務を負います。相続放棄をすると次の順位の人に相続権が発生するので、その相続人に引き渡すまでの間です。
また、相続人が誰もいなくなった場合には、裁判所に申立てを行い相続財産清算人の選任してもらう必要があり、その清算人に引き継ぐまでの間になります。
5 管理義務の程度
自己の財産と同一の注意をもって管理する必要があります。
文字のとおり、自分の財産を取り扱うときと同程度で管理すれば足ります。
比較する注意義務の概念として善良なる管理者の注意義務というのがあり、この場合は、他人の事務や財産を管理・処理する人が、その職業や立場に応じて通常期待される誠実な注意を払うことが要求されますが、そこまで高度な注意義務は要求されません。



























